Webマーケティングにおけるロードマップ策定の意味とは?具体的な作り方も解説
「ロードマップを策定するのは、どんな意味があるのだろう?」
「プロジェクトを円滑に進めるためのロードマップの策定方法が知りたい」
Webマーケティングは複数のメンバーでプロジェクトを進めていくため、事前に各メンバーが共通の認識を持つことが大切です。
事前に道しるべとなるロードマップを作成しておけば、プロジェクトを俯瞰したり、リソースを上手に配置したりなど、スムーズに業務を進めやすくなります。
しかし、ロードマップの策定方法には守るべきルールがあるため、正しい知識を身につけておくことが重要です。
本記事では、Webマーケティングのロードマップの策定する意味や、具体的な作り方について解説します。
今回の記事のポイント
・Webマーケティングのロードマップを策定する意味はなんですか?
Webマーケティングのロードマップを策定する意味は、プロジェクト全体を俯瞰的に把握するため、チーム全体で情報を共有するため、リソースを効果的に活用するため、ステークホルダーの理解を得るためなどがあります。ロードマップがあることで、訴求にブレのないWebマーケティング施策を実行可能です。
・Webマーケティングのロードマップはどのように策定すればよいですか?
Webマーケティングのロードマップを策定する際は、目標と達成期間の設定、現状分析、 リスク対策、ロードマップ策定、メンバーに共有の順番で進めていくとよいでしょう。
・ロードマップを策定する際の注意点はありますか?
ロードマップを策定する際は、詳細な情報を含めすぎず、KPIを明確にして、重要な節目のみマイルストーンに設定することが大切です。これにより、誰にでも理解しやすいロードマップを作りやすくなります。
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Webマーケティングにおけるロードマップとは?
Webマーケティングにおけるロードマップとは、プロジェクト全体の流れを把握できる進行表のようなものです。ロードマップを策定することで、目標達成までの工程が確認でき、プロジェクト全体を把握できるようになります。
ここではロードマップを策定する意味や種類などを理解しておきましょう。
- ロードマップを策定する意味
- ロードマップの種類
- ロードマップとマイルストーンの違い
ロードマップを策定する意味
Webマーケティングのロードマップを策定する意味としては、以下のようなものがあります。
- プロジェクト全体を俯瞰的に把握するため
- チーム全体で進捗度合いを共有するため
- リソースを効果的に活用するため
- ステークホルダーの理解を得るため
ロードマップは、Webマーケティングのプロジェクト全体像を把握するために重要です。また、メンバー同士で進捗度合いを共有し、リソースを効果的に活用するのにも役立ちます。
さらに、ステークホルダーに対してプロジェクトの説明を行う際にも、ロードマップがあることで全体像を俯瞰でき、今行っている施策の位置づけや重要度に対する理解を得やすくなります。
ロードマップは、プロジェクト全体の透明性と効率を向上させ、Webマーケティング業務を円滑に進めるためにあると言えるでしょう。
ロードマップの種類
ロードマップには主に2種類あります。
プロジェクトロードマップ
プロジェクトロードマップは、一般的にロードマップとして認識されているものです。
ビジネスの目標を達成するための計画、全体像が確認でき、Webマーケティングだけでなくさまざまな分野で活用されています。プロジェクトの全体を把握するためにあるので、情報の粒度はそこまで細かくありません。
プロジェクトの統一感や一貫性を確認するのに便利です。
プロダクトロードマップ
プロダクトロードマップは、製品やサービスの開発時に活用されるロードマップです。
- 開発の方針・範囲
- タスクの優先度
- 関係者
- マーティング資料
上記のようなものが含まれており、プロジェクトロードマップと比較して、より具体的な計画書になっています。
本記事では、いわゆるプロジェクトロードマップについて解説していきます。
ロードマップとマイルストーンの違い
ロードマップとマイルストーンは同じフレームワークと誤解されやすいですが、明確な違いがあります。
ロードマップとマイルストーンの違いは以下の通りです。
- ロードマップ:プロジェクト全体の計画を示したもの
- マイルストーン:計画の節目や中間目標(区切り)
ロードマップは目標地点へ到達するための地図であり、マイルストーンは中継地点といったイメージです。つまりマイルストーンは、ロードマップに含まれる1つの重要な要素と言えます。
マイルストーンは、中間目標や重要な節目を設定するのが一般的です。
例えば、具体的な施策の開始日やアクセス数、コンバージョン数などの中間目標などをマイルストーンとして設定します。適切なマイルストーンを設定することで、誰にでも理解しやすいロードマップが作成できるでしょう。
Webマーケティングのロードマップを策定するメリット
ここでは、Webマーケティングのロードマップを策定するメリットについて見ていきましょう。
- 今すべきことを明確にできる(施策に優先度を付けられる)
- Webマーケティング施策に一貫性を持つことが可能(チーム全体で意思を統一できる)
- Webマーケティング施策の生産性を向上できる
- プロジェクトの意思決定がスムーズにできる
今すべきことを明確にできる(施策に優先度を付けられる)
Webマーケティングのロードマップを策定することで、今すべきタスクとそうでないタスクを明確に理解できます。
プロジェクトの進行状況が把握できるため、各タスクの重要性や緊急性を把握する際も役立つでしょう。
「緊急性」「重要性」でよく引き合いにだされるのが重要と緊急で作成されたマトリックス(4象限の窓です)。
上記の図でいうと1番目に行うべきは① 緊急かつ重要な施策です。
2番目にはどうすればよいか、ここが迷いどころです。本当に緊急性が高いなら、非重要でも緊急性が高い施策を行わないといけないですし、緊急性はそこまでないものの、重要度がかなり高い場合(往々にして周りの施策との兼ね合いで緊急性は決まるので)左上を2番目に行うべき場合もあります。
ここでポイントなのは、周りの施策との関連性で緊急度や重要性が決まるということです。
つまり、単体の施策としては緊急も重要も決定できないということです。
ここで周りの施策として何が存在するのか?を俯瞰するためのものがロードマップです。
ロードマップがあると、今後時系列としてこういう施策を行う予定である(もしくは今実施している施策としてはこういう施策がある)。その施策と比較して現在の施策は緊急なのか、重要なのかが決まってくるのです。
ロードマップ策定の効用の1つは各施策に時系列での比較軸を持ち込めるということになります。
例えば、新製品のローンチキャンペーンに関するロードマップを作成すると、「市場調査」→「ターゲット層の決定」→「Web上のコンテンツ作成」→「Web広告配信」→「施策の効果測定」というふうに時系列でステップを順序立てて把握できます。
この中で各フェーズで、各施策の重要度が緊急性が明確化されるのです。
ロードマップを策定することで、タスクの混乱や重複などにも気付けるようになり、今すべきことに集中できるようになるでしょう。
Webマーケティング施策に一貫性を持つことが可能(Webマーケティングチーム全体で意思を統一できる)
ロードマップがあることで、Webマーケティング施策に一貫性を持つことが可能になり、チーム全体で意思を統一できるのもメリットです。
例えば、SEOを実施する場合、ロードマップを用いることで各ステップを全員が共有し、同じ目標に向かい、各自で役割分担をしつつ各施策に統一性を持たせることができます。「◯月◯日までに記事を〇〇本作成する」といった定量的なマイルストーンが設定されていれば、さらにわかりやすくなるでしょう。
適切なロードマップとマイルストーンを設定することで、大人数が参画するプロジェクトであっても、施策のズレを最小限にできます。
施策の生産性を向上できる
Webマーケティングのロードマップを作成することで、施策の生産性を向上できるのもメリットです。
ロードマップがない状態では、どこに誰を配置すべきかがわかりにくく、特定の部署に必要以上のリソースを割いてしまうといったミスが発生しやすいです。リソースが不足している部署が出てくる可能性もあり、その結果、プロジェクトがうまく進まない原因となります。
この点、ロードマップを地図として、その上で各タスクを各自に割り振り誰が何を担当するのかを決めることができるため、リソースを有効に活用しやすくなるのです。
また、各自の進捗状況を明確に把握できるようになるので、ボトルネックを早期に発見して問題を解決し、業務プロセスを改善しやすくなるでしょう。
プロジェクトの意思決定がスムーズにできる
ロードマップを策定すると、プロジェクトの意思決定がスムーズにできるのもメリットです。
ロードマップを元に「いつまでに何をどうする」といった役割分担表があれば、チームメンバーと相談する際も効率的に話を進めることができます。問題点を把握して改善案を出し合う際も、ロードマップがあることで、プロジェクトの全体像を把握しながら話を進められるでしょう。
また、ステークホルダーにプロジェクトの説明する際も、ロードマップがあると重宝します。ロードマップをもとに現状報告を行うことで、説得力のある説明ができるようになるでしょう。
Webマーケティングのロードマップの策定方法
ここからは、Webマーケティングのロードマップを策定する方法について見ていきましょう。
- 目標と達成期間を設定する
- 現状を分析する
- 想定される問題と対策方法を考える
- ロードマップとして落とし込む
- 策定したロードマップを共有する
目標と達成期間を設定する
はじめにロードマップに反映する目標と達成期間を設定しましょう。
Webマーケティングでどのような課題を解決したいのかを明確にする工程です。 例えば「新規顧客を6ヶ月で1,000人以上獲得する」「Webサイトのトラフィックを3ヶ月で50%増加させる」など具体的で定量的な目標が望ましいです。
単純に「売上50%アップ」ではなく、期日を設定することで、プロジェクトの進捗状況をシビアにジャッジできるようになります。
また、数年単位の長期的な目標を設定する場合は、この時点でマイルストーンを設定するのがおすすめです。
重要な節目や中間目標を設定しておくと、ボヤけがちな長期目標を現実的に捉えやすくなります。
現状を分析する
目標が定まったら、自社の現状を分析しておきます。
- Webマーケティングチームの構成
- 社内スタッフのリソース状況
- 施策に割り当てられる予算
- 前年度の売上
- Webマーケティングの現状
上記のような要素を明確にしておくとよいでしょう。
加えて、自社を取り巻く外部要因についても分析します。競合他社、市場の動向、ターゲット層の行動パターンなどを分析しておくと、ロードマップ策定にも役立つはずです。
現状分析をもとに自社の強みや弱み、リスクなどを把握しておきましょう。
分析の手法についてはこちらをご参照ください。
想定される問題と対策方法を考える
次に想定される問題と対策方法を考えます。
例えばSEOを実施する場合、検索順位の低下やペナルティ判定を受けるなどのリスクがあるでしょう。広告運用であれば、競合他社の影響や誇張表現の規制などが考えられます。
問題に対する解決策がイメージできていれば、実際にトラブルが起きた際も冷静な対応が可能です。トラブルのリスクを最小限に抑えるためにも、考えられる限りの問題点を洗い出しておき、それぞれの対処法を設定しておくようにしましょう。
ロードマップとして落とし込む
実際にロードマップを策定する工程です。
各メンバー、ステークホルダーの誰が見てもわかる内容にてロードマップを作っていきます。
Webマーケティングは複数の施策を並行して実施することが多いです。そのため、各施策を始めるタイミングや担当者、リソース、期日、大まかなタスクを可視化しておくとわかりやすいでしょう。
また、適切な節目でマイルストーンを設定することも大切です。
適切なロードマップを作成して、プロジェクト全体を俯瞰的に把握できるようにしておきましょう。
策定したロードマップを共有する
ロードマップが完成したら、Webマーケティングチームや関係者に共有します。
ここでは、各メンバーに以下のような問題がないか確認しましょう。
- プロジェクトのチーム構成
- マイルストーン
- タスクの量
- リソースの配分
- プロジェクト全体の流れ
問題がある場合はフィードバックを反映して、ロードマップをブラッシュアップします。
誰が見ても理解できるロードマップを策定して、認識の齟齬がない状態を目指しましょう。
【Webマーケティングのロードマップ策定について相談する】
ロードマップ策定に関する注意点
ロードマップを策定する際は、以下の点に注意しましょう。
- 詳細な情報を含めすぎない
- KPIを明確にした上でロードマップを作成する
- 重要な節目のみマイルストーンに設定する
詳細な情報を含めすぎない
ロードマップを策定する際は、詳細な情報を詰め込みすぎないようにしましょう。
プランを練る際は、ついつい情報量が増えてしまいがちですが、ロードマップを作る目的は、プロジェクトの全体像を把握することです。そのため、詳細情報を含めてしまうと、ロードマップが長くなったり、見にくくなったりする原因になります。
日単位で細かいタスクを詰め込むのではなく、月単位で概要を把握できるように心がけるとよいでしょう。
KPIを明確にする
ロードマップを策定する際は、各要素でKPIを明確に設定しておくことをおすすめします。
- プロジェクト全体
- マイルストーンごと
- Webマーケティングの各施策
上記のように大きな要素から施策レベルに至るまで、各領域でKPIを細かく設定しておきましょう。
KPIが明確になっていれば、うまくいっている施策とそうでない施策を迅速に把握できます。データに基づいた意思決定ができるため、直感に頼ってミスをする確率を下げられるでしょう。
ステークホルダーに対しても数値で状況を伝えられるため、円滑なコミュニケーションができるようになります。
重要な節目のみマイルストーンに設定する
ロードマップを策定する際は、マイルストーンを設けすぎないように注意してください。
過剰にマイルストーンを設定すると、本来シンプルであるはずのプロジェクトが返って複雑になってしまいます。途中で計画を変更する際も、マイルストーンを1つ1つ修正しなければなりません。
ロードマップにマイルストーンを設定する際は、プロジェクトの成功に欠かせない重要な節目に限定するのがおすすめです。
プロジェクトの期間や規模感に応じて、現実的な数のマイルストーンを設定するようにし ましょう。
Webマーケティングのロードマップ作成例【イメージ図】
こちらのロードマップは、計画表のフォーマットを活用して作ったものです。
1〜3ヶ月目にかけてSEOの基盤を作っておき、4〜5ヶ月目で運用型広告とSNS運用で集客に注力していくイメージになります。
非常にシンプルなロードマップになりますが、プロジェクトの全体像を把握することができるでしょう。
このようなたたき台を作成したうえで、各KPIや定量的な数値を入れていくと、より具体的で誰が見ても認識にズレが生じないロードマップを策定できます。
自社にとって使いやすいツールなどを活用して、わかりやすいロードマップを作っていきましょう。
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バクリからのワンポイントアドバイス
ロードマップは大まかな全体像を俯瞰するのに役立つプロジェクトの最初になくてはならないものです。いわば立ち戻るべき地図となりますので、KPIを明確にしたうえで、そのKPIを達成するのに必要なタスクを洗い出し、ロードマップに落とし込みましょう。
あくまで地図ですので、詳細な道順を記載したものではありません。
この点全体を俯瞰しつつ、現在の進捗や各自の役割を把握するのに役立つ粒度で策定を心がけましょう。
弊社でもプロジェクトを走らせる上では必ずKPIツリーとロードマップを作成し、何か迷ったときに立ち戻るべき地図をクライアント様と共通認識を持つことが重要と考えております。
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