インハウス運用とは?導入に踏み切る判断基準と運用型広告の内製化を成功させるポイント
「運用型広告を自社のみで行うには、どんなメリットとデメリットがあるのだろうか?」
「インハウス運用を成功させるポイントや効率的な進め方について知りたい」
運用型広告は、Webマーケティングの施策として欠かせない施策の1つです。
活用する機会も多い運用型広告は、代理店に任せるのではなく自社でインハウス化して運用する企業も増えてきました。
自社のみで運用型広告を管理・運用できることで、外注コストが削減できたり柔軟性がアップしたりなどのメリットが得られます。
しかし、インハウス運用はすべての企業が恩恵を受けられるわけではありません。
現在の運用体制やリソースによっては、代理店に任せた方がよいケースもあるでしょう。インハウス運用を成功させるには、あらかじめ自社にどのようなリスクや課題があるのかを理解しておくことが大切です。
本記事では、インハウス運用のメリット・デメリットや、運用型広告の内製化を成功させるポイントについて紹介します。
今回の記事のポイント
・インハウス運用かアウトソーシングの判断基準はありますか?
インハウス運用かアウトソーシングかは「代理店に支払う手数料が人件費よりも高いか」や「長期的に広告運用を行う予定があるか」などの基準から判断するのがおすすめです。
・インハウス運用をスタートさせるにはどんな手順で進めればよいですか?
インハウス運用をスタートするには、目的を明確化、社内リソースの確保と効率化ツールの準備、スタッフの教育体制の整備、インハウス運用の試運転という手順で進み、レビューと改善を繰り返すとよいでしょう。
・インハウス運用を成功させるポイントはありますか?
インハウス運用を成功させるポイントは、一度にすべての業務をインハウス化するのではなく、徐々にインハウス化することが大切です。また、長期的な計画を立てたり、自社に合った効率化ツールを導入したりするのもよいでしょう。インハウス支援サービスを活用して、効率的にインハウス運用を実現する方法もあります。
それでは詳細を見ていきましょう。
【インハウス運用について相談する】
インハウス運用とは
Webマーケティング業界におけるインハウス運用とは、広告運用を外部委託せずに自社で行うことを意味します。
特に運用型広告を社内で運用する場合に「インハウス運用」と言われることが多いです。
Webマーケティング以外で「インハウス運用」というと、年金資産運用を銀行や投資顧問などに委託せず年金基金が自社で運用することを指します(自家運用)。
この記事では、Webマーケティングを前提としているため「インハウス運用=広告運用」という意味合いで解説します。
運用型広告のインハウス運用の主な業務は以下の通りです。
- 広告戦略の策定
- 媒体選定
- キーワード選定
- タイトル説明文作成
- クリエイティブ作成
- 入稿管理
- 予算管理
- レポーティング
- 効果検証と改善
上記の業務を自社で行えるようにするのが目的です。
インハウスや内製化に関する概要やメリット・デメリットについては、下記記事をご参照ください。
インハウス運用のメリット4つ
ここではインハウス運用のメリットを紹介します。
- 広告代理店に支払う手数料がなくなる
- 広告運用に関する知見を社内に蓄積できる
- 自社商品やサービスを理解したうえで広告運用できる
- 迅速にPDCAを回していける
広告代理店に支払う手数料がなくなる
インハウス運用の大きなメリットは、広告代理店に支払っていた手数料を削減できることです。
例えば、今まで広告代理店に月50万円の手数料を支払っていた場合、節約した費用を広告実費(クリックチャージ)や他のWebマーケティング活動に充てられるようになります。インハウス運用を実現することで直接コスト削減や費用対効果、CPAの低減が可能になります。
広告運用に関する知見を社内に蓄積できる
インハウス運用は、広告運用に関するノウハウや知見が社内に蓄積できるメリットもあります。
過去のキャンペーンの経験から、成功パターンや失敗事例を参考にできるため、自社での運用歴が長くなるほど、広告運用に関する知見を蓄積できるでしょう。代理店に業務委託した場合、運用型広告のノウハウや自社ならではの知見を蓄積することは難しいものです。
長期的な視点で見れば、社内に広告運用に関する専門知識を持つ人材が増え、企業全体の競争力も強化されやすくなるでしょう。
自社商品やサービスを理解したうえで広告運用できる
インハウス運用は、自社商品やサービスを深く理解した人間に広告運用を任せられるメリットがあります。
代理店に依頼した場合、広告運用に関するノウハウや知見はあるものの、自社の商品やサービスに対しては限界があるものです。特にニッチな分野では、代理店の担当者に十分な知識がなく、汎用的な施策になりやすいでしょう。
この点、インハウス運用であれば、自社商品やサービスに詳しく情熱を持った人材を担当者にできます。
専門性の高いジャンルでターゲットに刺さる訴求やクリエイティブを作れるのは、インハウス運用ならではの強みと言えるでしょう。
迅速にPDCAを回していける
インハウス運用では、広告運用のPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を迅速に回せるのもメリットです。
運用型広告の場合、広告予算やクリエイティブの内容、配信頻度などを随時カスタマイズできます。そのため、短期間で費用対効果を高めていくことが可能です。
代理店に広告運用を任せてしまうと、どうしても数営業日などスパンが空き、対応が遅れてしまうケースがあります。
この点、インハウス運用であれば、自社の担当者が迅速に対応でき、広告パフォーマンスの最適化に取り組みやすくなるでしょう。
インハウス運用のデメリット3つ
次にインハウス運用のデメリットについて見ていきましょう。
- 社内スタッフの工数がかかる
- 最新情報をキャッチアップしづらくなる
- ノウハウが属人化しやすくなる
社内スタッフの工数がかかる
インハウス運用のデメリットの1つは、社内スタッフの工数が増えてしまいやすいことです。
広告運用には戦略立案からクリエイティブ制作、データ分析、社内への結果のフィードバックなど多くの広告運用の一連のタスクが伴います。そのため、インハウス運用では社内スタッフの負担が増えやすく、他の業務に支障をきたす可能性もあるでしょう。
限られたリソースで効果的にインハウス運用を行うには、効率化ツールを導入して、適切な運用体制を構築することが大切です。
最新情報をキャッチアップしづらくなる
インハウス運用は、Web広告関連の最新情報をキャッチアップしにくくなるデメリットがあります。
広告業界は常に変化しており、新しいツールやトレンド、ルールの変更などが頻繁に行われているものです。広告運用の専門家である代理店は、複数のクライアントの運用経験や同業他社との交流によって、最新の広告運用事情に精通しています。
インハウス運用を行う際は、広告運用に関するセミナーへ参加したり資料請求をしたりするなど、定期的に自ら情報収集を行っていく仕組み作りが大切になるでしょう。
ノウハウが属人化しやすくなる
インハウス運用では、特定の社員にノウハウや知見が集中しやすくなるといった懸念点もあります。
例えば、社内に広告運用を行うメインの担当者が1名のみだった場合、担当者が休職や転職した際に運用体制が崩れてしまう可能性があるのです。道半ばで広告パフォーマンスが落ちてしまうと、成果を出すまでに大きく時間を浪費してしまうでしょう。
属人化を防ぐためには、複数人でチームを構成したり、またチーム内で知識を共有したり、実務のトレーニングを行ったりするなどの時間を設けることが大切です。
インハウス運用かアウトソーシングかの判断基準
「広告運用をインハウス化すべきかアウトソーシングすべきかがわからない」と悩んでいる方もいるでしょう。
ここでは、インハウス運用かアウトソーシングかを判断するポイントについて解説します。
- 代理店に支払う手数料が人件費よりも高いか
- 長期的に広告運用を行う予定があるか
代理店に支払う手数料が人件費よりも高いか
広告代理店に支払う手数料とインハウス運用にかかる人件費を比較して、どちらが自社にとってコスト的なメリットがあるかを判断する方法です。
例えば、1ヶ月の広告費が200万円の場合、広告代理店に支払う手数料の相場は40万円ほどかかります(手数料=広告費の20%)。もしも月40万円で広告運用ができる人材を採用できるのであれば、代理店に支払う手数料を削減できると考えられるでしょう。
逆に毎月の広告費が100万円以下の場合、代理店の手数料は20万円以下になることが多いため、インハウス運用の方が高くつく可能性が高いです。
「どちらの方が安いか」を把握しておくことで、コストの視点からインハウス運用に踏み切るべきタイミングが判断できるようになるでしょう。
弊社でもお問い合わせを頂戴する1つの基準値としては、200万円以上などになることが多いように思います。
もちろん1,000万円以上のインハウス化も実績多数で、この場合のコストメリットは計り知れません。
長期的に広告運用を行う予定があるか
自社が広告運用を長期的に行っていくのであれば、インハウス運用へ進んだ方がよいと判断できます。
インハウス運用を達成するには時間がかかるものです。しかし、自社に広告運用に関する知見が貯まっていくため、長期的な視点で考えるほどインハウス運用に切り替える価値が高くなります。
反対に短期間で広告を打つような場合は、広告代理店にスポットで依頼した方が施策を迅速にスタートできるでしょう。
より具体的な判断基準については、下記記事をご参照ください。
なお、まずは一通り自社運用をできるようにするということなら半年はかかると思っていただくのがよいかと思います。
インハウス運用をスタートさせる手順
ここからはインハウス運用をスタートさせる手順について見ていきましょう。
- インハウスの目的を明確にする
- 社内リソースの確保と効率化ツールを準備する
- スタッフの教育体制を整える
- インハウス運用を試運転する
- レビューと改善を繰り返す
インハウスの目的を明確にする
はじめに、インハウス運用を行う目的を明確にしていきましょう。
「何のためにインハウス運用に切り替えるのか」を明らかにしておくことで、チーム全体がブレることなく施策に取り組めるようになります。例えば、コスト削減、広告効果の最大化、社内ノウハウの蓄積などが考えられます。
次に、設定した目的を達成するにあたって、必要かつ優先的にインハウス化すべき業務を決めていきます。
はじめからすべての業務をインハウス化するのは困難なので、どの業務をインハウス化し、どの業務を外注するかを決めておくと便利です。
運用金額が大きくなればなるほど、GoogleやYahoo!の管理画面上のキャンペーン構成などは複雑になっていることも多く、一部のキャンペーンから自社運用にするなどのソフトランディングを行うことも視野に入れましょう。
例えば、GoogleのP-maxなどから自社運用するなどはハードルが低いと言えます。
社内リソースの確保と効率化ツールを準備する
目的を達成するために必要な社内リソースと効率化ツールを準備しましょう。
広告運用チームを構築するにあたり、必要な人材をアサインします。
社内に広告運用に対して知見のある人材がいる場合は、自走できるまで育成していきましょう。
適任者がいない場合は、新たに人材を採用する必要があります。自社が求める人材を明確にして採用活動を行いましょう。
特に、どのようなメンバーが運用に向いているかをあらかじめ見極めておくことが重要です。
一度運用を始めるとすぐには変更が難しいため、管理画面の数字を自社のサービスに当てはめて単なる数字でなく、実態を伴った数字としてイメージできるような人材がよいと思われます。
単に計算が得意、細かく黙々と画面に向かうタイプだからなどで決めてしまわないようにしましょう。
運用のポイントはいかに自社と他社の差別化を図るかです。サービスに紐付いた数値として読み解けないためです。
次に、チームメンバーが揃ったら適宜効率化ツールを準備していきます。
- Googleアナリティクス
- Google広告、Yahoo!広告などの広告管理ツール
- 一元管理ツール
- レポート自動出力ツールなど
必要なツールは企業やチーム編成によって大きく異なります。
無料から有料までさまざまなツールがリリースされているので、無料トライアルを活用しながら自社に合ったツールを選定していくとよいでしょう。
スタッフの教育体制を整える
自社の広告運用チームに合った教育体制を整えます。
広告運用の知見を吸収するためのマニュアルを作成したり、専門家のセミナーへ参加したりなど、業務内容を学ぶための土台を作っておきましょう。
もしも、自社に広告運用スキルを持った人材がいない場合は、内製化支援を受けて正しい知識を身につけることをおすすめします。インハウス運用を専門としたプロのサポートを利用すれば、効率的に広告運用を自走できるようになります。
当社バクリでは、月25万円から内製化支援を行っております。
広告チームの構築から戦略設計、KPI設定、マニュアル作成など、すべての業務に対応しているので、インハウス運用に興味がある方は、お気軽に無料相談よりお問い合わせください。
【インハウス運用について相談する】
インハウス運用を試運転する
自社で広告運用を自走できるようになってきたら、実際にインハウス運用を試験的に行っていきます。
実際にキャンペーンを作成し、クリエイティブ制作、運用・管理などを行ってみます。まずは小規模のキャンペーンから始めて効果測定しつつ、PDCAを回していくのがおすすめです。
あらかじめ試運転することにより、実際にインハウス運用する際の課題や改善点を見つけやすくなるでしょう。
レビューと改善を繰り返す
インハウス運用をスタートさせたら、定期的にレビューを行って必要な改善策を見つけて実行する作業を繰り返していきます。
- 効果測定とレポーティング
- 広告パフォーマンスの評価
- 戦略の見直し
- ツールやシステムの更新
- 育成マニュアルの更新
上記のような項目を必要に応じて改善していきましょう。
レビューを行う際は、チームメンバーで分析することが大切です。これにより社内メンバーに知見を共有・蓄積しやすくなります。
PDCAを迅速に回して、広告効果の費用対効果を高めていきましょう。
インハウスについての詳しい内容については、下記記事をご参照ください。
代理店運用とインハウス運用の違い
ここでは、広告代理店に運用を任せる場合のメリットとデメリットについて紹介します。
代理店に任せる場合のメリット
代理店に任せる場合のメリットは主に以下の通りです。
- プロに依頼できるため開始当初から広告効果が出やすい
- さまざまな運用経験から正しい改善案を提案してくれる
- 各媒体とつながりがあり最新情報に強い
複数のクライアントの広告運用を行っている代理店は、過去の成功例から成果につなげやすいメリットがあります。経験値が豊富なため、自社にとって最適な改善案を提案してくれるのもポイントです。
また、GoogleやYahoo!といった大手広告媒体とつながりを持っている代理店の場合、最新情報やトレンドの手法なども把握しています。
代理店に任せる場合のデメリット
続いて、代理店に任せる場合のデメリットを見ていきましょう。
- 代理店に支払う手数料が15〜20%ほどかかる
- 確実に成果が出るとは限らない。担当者の質によって知識やスキルにバラつきがある
代理店に任せるうえでデメリットになるのは手数料がかかる点です。
多くの代理店は広告費の15〜20%ほどですが広告費が大きくなるほど手数料も増えるため、自社にかかる金銭的負担も大きくなります。
また、経験豊富な代理店であっても必ず成果を出せるとは限りません。自社のビジネスプランや業界に対して知識が浅い代理店であれば、正しい戦略が立てられずに失敗するケースも考えられます。
特にニッチな業界であればあるほどその傾向は強くでるので、業界経験、スキルのある代理店でないと成果が出ない場合もありえます。
代理店はプロならではの知見を活かせるものの、手数料や担当者の質のバラつきなどによるデメリットがあります。特に広告運用に関する知識やスキルが未熟な担当者がついてしまうと、成果を期待することは難しいです。
代理店へ依頼する際は、上記のポイントを踏まえたうえで、自社に合った1社に絞るようにしましょう。
インハウス運用を成功させるポイント
ここでは、インハウス運用を成功させるポイントについて見ていきましょう。
- ソフトランディング
- 長期的な視点で計画を立てる
- 自社に合った効率化ツールを導入する
- インハウス支援サービスを活用する
ソフトランディング
無理なくインハウス運用を実現するには、徐々にインハウス化を進めることが大切です。
広告運用に関する業務を一度にインハウス化しようとすると、社内スタッフに負荷がかかってしまい、自走できるまでに多くの時間がかかってしまいます。そのため、まずは代理店の協力や内製化支援を活用して、一部からでも少しずつインハウス化していくようにしましょう。
優先度の高い業務や難易度が低く覚えやすい業務、予算感の少ない媒体、一部のキャンペーンなど、無理なく進められるペースでインハウス化することが重要になります。
長期的な視点で計画を立てる
インハウス運用を達成するには時間がかかります。
そのため、広告運用をインハウス化する際は、長期的な計画を立ててタスクに優先順位をつけ、着実に消化していくようにしましょう。あらかじめ「どのようにインハウス運用を実現するのか」をロードマップにしておくとスムーズです。
また、インハウス化を進めるにあたり、予期せぬトラブルが起こることもあります。柔軟に対応できる体制を整え、状況の変化にも迅速に対応できるようにしておきましょう。
自社に合った効率化ツールを導入する
インハウス運用を成功させるには、自社に合った効率化ツールの選定も欠かせません。
- キーワード選定
- 複数媒体の一元管理
- 効果測定
- レポート作成
上記のような要素は手動で行うと労力がかかるため、効率化ツールを導入した方がメリットを得られるでしょう。
ただし、メジャーなツールが自社の課題解決にマッチするとは限らない点に注意してください。各ツールで月額使用料や機能性、管理画面の使用感などが異なります。予算によっても選択すべきツールは違ってくるものです。
社内のニーズや予算、スタッフのスキルレベルに合わせて使いやすいツールを選択しましょう。
インハウス支援サービスを活用する
できるだけコストを抑えて効率的にインハウス運用を実現したい場合は、プロの支援を受けるのがおすすめです。
インハウス支援サービスでは、ロードマップ作成、KPI策定、戦略設計、マニュアル作成など、インハウス運用を達成するために必要な業務をサポートしてくれます。広告運用に適した人材がいない場合は、適切な人材のアサインも可能です。
ちなみに当社バクリでは、月25万円から内製化支援を行っております。
広告運用はもちろん、その他のWebマーケティングの施策に関しても対応可能です。
Webマーケティング業務全般のインハウス化に興味がある方は、お気軽に無料相談よりお問い合わせください。
【インハウス運用について相談する】
インハウスと代理店サポートのバランスを取る場合
ここでは広告運用の内製化支援を受ける際のヒントとして、3つのパターンを紹介します。
- アカウントのみ自社、運用は代理店パターン
- 自社で補えない部分について部分的に代理店サポート
- 一部のアカウントのみ自社運用
アカウントのみ自社、運用は代理店パターン
自社の広告アカウントを使って、代理店に運用してもらうパターンです。
「広告アカウントは自社のものを使うのが普通なんじゃないの?」と考える方もいると思いますが、代理店のアカウントを使って運用することも珍しくありません。なぜなら、代理店アカウントだけが受けられる独自のサポートなどが存在するからです。ずっと代理店さんと一緒に運用する場合などは代理店アカウントを活用した方が、メリットを受けられるケースもあります。
ただし、インハウス運用を見越した場合、代理店アカウントは支払いの部分やノウハウの部分で対応が難しい場合が多いでしょう。
つまり少々雑な表現ですが、代理店としては自社のアカウントで運用していくことで、自社運用させないという人質を取っているみたいな風に捉えることも可能です。
そのため、代理店さんには運用をお願いする前提で、協力を仰ぎ自社アカウントを使うなどの方法を模索するパターンがあります。
自社で補えない部分について部分的に代理店サポート
次は自社では補えない業務のみを代理店にサポートしてもらうパターンです。
例えば、キーワード選定やクリエイティブ制作、レポーティング、ツールの導入・アカウントの連携など、知識が必要な業務は代理店に任せた方が、迅速に広告運用を始められるでしょう。
一部のアカウントのみ自社運用
複数のアカウントのうち、一部の媒体、アカウントのみを自社運用するパターンです。
例えば、自社アカウント1つと複数の代理店アカウントで同じキャンペーンを運用し、成果が出たアカウントを採用することができるでしょう。これにより1つのアカウントで運用するよりも知見が貯まり、結果も出やすいメリットが得られます。
また、自社と代理店で異なる媒体で運用も可能です。
出稿媒体やクリエイティブを変更して、双方でどのような結果が出るのかチェックすることもできるでしょう。
運用型広告のインハウス手順
ここでは、運用型広告のインハウス手順について見ていきましょう。
ちなみに、当社の場合は以下のような手順でリスティング広告のインハウスを行います。
- アカウントの現状分析
- 自社アカウントの構築
- 運用開始
アカウントの現状分析
はじめにアカウントがどのような状況になっているのか現状分析を行います。
(既存のアカウントがある場合)
- アカウント構成
- 過去CV/キーワード分析
- TD分析/訴求軸分析
- 入札戦略/オーディエンス分析
- リンク先分析
- 季節要因分析
- ディスプレイ分析
- クリエイティブ分析
- レポート確認
上記の要素などを分析して、課題や改善すべきポイントを見つけていきます。
特に重要なのが、現在代理店アカウントで運用している場合には、そのCVデータを参考にすると言うことです。
どんなキーワードでCVしているのか傾向を知っておくだけでも、自社運用でスタートダッシュが可能になります。
自社アカウントの構築
インハウス運用で使う自社アカウントの構築を行う工程です。
- Google、Yahoo!などの媒体選定
- アカウント申込
- CVなどのタグ設定
- キーワード、TD設計
- タグの埋め込み
- パラメータ付与
- 予算確認
- マッチタイプ入札戦略決定(オーディエンス設定)
- 入稿作業
ここでは、インハウス運用の土台となる自社アカウントを適切に設定していきます。
広告媒体からキーワード選定、タグの埋め込みなどを実行し、インハウス運用をスタートできるレベルまで持っていくのが目的です。
代理店アカウントの際の入札戦略がうまくいっていないなどの改善余地があれば、自社運用では変更してみるのもありです。
この辺りはせっかくの一からスタートなので、代理店アカウントでは入札戦略変更など舵を切りにくかった施策を試してみましょう。
運用開始
自社アカウントの構築が整ったら、実際に運用しつつ知見を蓄積していきます。
- CVテスト
- 初動のボリューム
- 初動レポート
- キーワード除外&追加
- CPC調整
- キャンペーンの有無/TD反映
- ROAS計測
- BIツール
- LTVデータ蓄積
実際に取得したデータを基に、テストを行ったりレポートを作成したりなどの実務のPDCAを回していく工程です。
特に、運用フェーズに入ったら、CPAのみならずLTVも見ていきましょう。
代理店運用だとLTVまで見ることはなかなか難しいと思います。
というのは、販売管理データとリスティング広告のCVの紐付けを行う必要などが出てくるためです。この点、自社運用ですと社内完結している分、どんなキーワードならLTVに響くようなが高いのかなどを確認できますので、中長期の視点で最適化できます。
バクリのインハウス運用に関する成功事例
ここでは、当社バクリのインハウス運用に関する成功事例を紹介します。
広告運用を自社で完結できるように支援した事例
こちらの事例では、自社でリスティング広告をインハウス化する課題に対してサポートをさせていただきました。
クライアント様は広告運用に最適な人材の採用も検討していたため、理想の人材像の策定から支援しました。
広告のインハウス化に関しては、まず自社で広告運用を完結させるためのロードマップを作成しました。管理画面の使い方や適切な目標設定などの基本操作を習得してから、広告媒体の拡大やLP改善などの応用スキルもレクチャーしました。
さらに、広告運用に加えてSEOの知識を社内に蓄積するためのサポートも行いました。
現在、クライアント様はリスティング広告を自走できるようになり、運用型広告やSEOのインハウス化も進めています。
バクリからのワンポイントアドバイス
今回は運用型広告のインハウス化について解説しました。
端的にコストメリットはあるものの、自社メンバーの負担増加や体制の部分などもしっかり考えた上でインハウス化に着手するとよいでしょう。
また、代理店さんの運用に課題がない場合にはすぐにインハウス化の必要性はそこまで高くないかもしれません。
とはいっても、自社で運用するメリットは盛りだくさんです。
コストのみならず、商材理解やLTVを見据えた運用が可能な点などです。
中長期で見た時に、自社にメリットがあるかどうかでインハウス化を検討してみてはいかがでしょうか。
【インハウス運用について相談する】